今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

真犯人

 

WOWOWドラマW枠で放送されるとCMが流れ始めたので、原作を読んでみた。

 

 

「真犯人」翔田寛著(小学館)

 

 

以下、感想。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、誘拐され、遺体で発見された5歳児の男の子。その父親が、誘拐事件と縁のある場所で41年後に亡くなった。

 

 

なぜ、彼は死なねばならなかったのか。そもそも、なぜ少年が誘拐され、犯人が突き止められなかったのか。。。

 

 

最初、父親の死はあくまでも1つの殺人事件として捜査が始まった。被害者の身辺を聞き込んでいく途中で、過去にある事件の関係者だったとする証言を得る。それが、彼の息子が被害者となった誘拐殺人・遺体遺棄事件。

 

 

現在の殺人事件の解決が、既にとうの昔に時効になった5歳児の誘拐殺人事件の解決に繋がっていく。

 

 

引っ越しのドタバタの隙を突いたかのように発生した少年の誘拐事件。住宅街の引っ越し作業中に姿を消した少年の目撃情報は初めからほとんど無く、身代金要求の電話も引っ越し直後の家を避け、隣近所の家にかけてくるという用意周到で用心深い犯人。様々な要素が交錯し、少年の足取りを追うことは出来ず、事件現場の静岡県から遠く離れた東京の多摩川で、少年の遺体が見つかるまで捜査は全く壁に突き当たっていた。

 

 

その後、多くの人員を割き、疑わしき人物の洗い出しの範囲を広げていったが、犯人の特定は出来ず、時間だけが過ぎ、規模を縮小しながら、継続捜査となった。

 

 

県警本部の人事に絡み、出世を目論む上級幹部の思いつきなのか、時効寸前の時期になって、突然、特別捜査班を設置することになり、1から事件を洗い直すことになった。

 

 

物語は、現在の事件を捜査する過程で、被害者がかつて別な事件の被害者遺族だったことが判明し、その事件の特別捜査班の管理官であった元警視に事件の概要と捜査過程を聞き取りに出向くところから始まる。

 

 

時効前にそれまでの捜査結果を直あたりすることで、かつての捜査で見落とした「事実」を見つけ出すことに力が注がれた。

 

 

自分たちの捜査の穴を見つけようとするやり方に誰もいい気持ちはしない。そうした非協力的な四面楚歌の状態で、少人数の特別捜査班は動き出す。3つに組み分けされ、それぞれが別の人物を丹念に追っていくが、ある関係者の死で捜査の有り様が問題になり、班は解散。事件もそのまま光も当てられず、時効を迎えた。

 

 

やり残した仕事を今の捜査官たちに引き継ぐため、当時の資料をさらいながら話をする元警視。

 

 

事件捜査にかかわった人間、全ての無念を晴らすため。

 

 

元警視の話が佳境に入るまでは、どちらかというと事態の説明が多く、あまり話に乗れない。刑事たちが、それぞれ目を付けたヒントを便りに、少しずつ事件の核心に迫っていく辺りから俄然面白くなる。

 

 

ただ、残念なのが、事件解決のヒントが写真に写っていたある物の存在だったこと。それは、小説だと文字にして表現しなければならず、それを読むと当然ながら秘密が秘密でなくなるということ。

 

 

これは、小説だから仕方ない。ただ、その部分の登場のさせ方でドンデン返しの驚きに差が出る。

 

 

これがドラマや映画などの映像作品なら、映像を見せることで、説明無しにアッと言わせることができる。

 

 

今回、ドラマ化に際して、この部分をどう描くのか楽しみだ。

 

 

映像向きの話とそうでないものがあるのだなぁ。

 

 

読み終わって、あの時、あと一歩違うアプローチをしていればとか、あの時、もう1つ視点を変えて見ていたらとか、そんな風に思う場面がいくつか思い出された。完全に話の中に引き込まれてたってことね。

 

 

警察小説はやっぱり面白い。