今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

若さは向こう見ず


試写会にて鑑賞。市ヶ谷の防衛省裏にある「JICA地球ひろば」の国際会議場を会場に。


こんなところに、こんな立派な施設があることも知らなかったけど、防衛省裏の大日本印刷ばかりだった町が近代的なビルばかりの町に様変わりしていて、どれだけ来てなかったのかと…


そんなイベント・ホールのような会場なので、劇場とは違い、段差の無いところにパイプ椅子。スクリーンを高いところに設置してくれており、椅子も互い違いに配置してくれていて、主催者側の配慮も感じられたけど、こういうのは観る映画による。


この度は、タイトルから想像しにくいけど(笑)、インド映画だ。


長編だし、歌って踊るきらびやかな映画。特に群舞は美しい。


そんな映画をパイプ椅子で小さなスクリーンで観るのは試写会とはいえ、残念だ。


全編160分の長丁場。始まる時間は早かったのだが、会場が分かりにくくて到着が遅れた人たちを待っての開映だったので、家に帰ったのはいつもの試写会より遅くなった。


インド映画だからね。


さて、インド映画ならではの長さを持つこの映画、内容はというと…


良かったよ〜(^-^)/


前日にユダヤ人の主張を奥に潜めたようななんかスッキリしない映画を見てたせいか、わかりやすさ満点で十分楽しめた。


インド映画の長さは無駄な説明を並べて長くなる邦画と違って、丁寧に段取り踏んで、時間を追っていくから長くなるワケで、ある意味納得出来るワケなんだけれども、今回も8年の年月の積み重ねをしっかりと感じ取れるように丁寧に描かれている。


こういうところを手抜きもしなければ、省略もせず、全てを語っていくので、見終わった後説明が要らない。


時として、ダラダラとした説明を省く90分尺の映画の完成度の高さに驚かされるが、そもそもインド映画には、そういう概念は無いみたい(汗)


編集の妙とかで勝負しないドラマなんだろうなぁ。


この映画も本国では、ちゃんと「インターミッション」があったようで、日本での公開時はその時間を省くようだ。「きっと、うまくいく」もそうだったし。


高校時代の同級生がトレッキング・ツアーに参加すると知り、昔から勉強ばかりしてきたヒロインはふと考える。


毎日、毎日勉強ばかり。同級生たちは自分が机にかじりついている同じ時間を有意義にイキイキと過ごしているように感じてしまう。


そんな思いが高じて、彼女は新しい一歩を踏み出す。


それまで、まるで知らなかったすぐそこの世界に大いに触発されるヒロイン。


同じクラスで過ごしながら、友達とも思っていなかった同級生たちと忘れ得ぬ思い出を得たヒロイン。


更なる一歩を踏み出そうとした時、何歩も先を歩く同級生には大きな夢があったことを知る。


その時、彼のことを好きになりかけていたヒロインだが、彼の大きな夢の存在を知っており、むしろ彼の旅立ちを祝う言葉さえかける。


なんとも不器用で素敵な青年たちではないか‼


その後、8年。


主人公は、好きな撮影カメラマンの仕事をしながら、世界を駆け巡る。


かけがえのない思い出を共有した仲間たちも8年の歳月の中で、それぞれの立場も境遇も変わっていく。


そんな時、ヒロインに声をかけ、トレッキング・ツアーに誘ってくれ、その後親友としていつも側にいた女性が結婚することになった。


ずっと好きだった片思いの親友ではなくて、見合いで知り合った男と…


彼女は言う。一緒にいてホッと出来るのだと。一緒にいて安らげる人の側にいたいと。


駆け引きのような胸を痛める恋でなく、ただ安らげる人の側に…


タイトルの「若さは向こう見ず」って、ちょっと違う感じ。


登場人物たちは確かに若い。10代後半から20代後半の時を演じているが、彼らはけして向こう見ずでも何でもなく、自分に正直に生きている。


そして、自分の信じる道を選びとっている。


4人の主要な登場人物たちの中で、ヒロインとその親友の2人の女性陣はとても示唆に富んだセリフを言う。


たった1日だけしかない時間の中で、ショーと夕陽のどちらを見るのか、ヒロインは「ショーを見に行ったら、この素晴らしい夕陽を見逃してしまう」と。


体は1つしかない。アレもコレもと欲張ったところで、全てを成し遂げるのは無理だ。「時」が大切なのだと。


大きな仕事のオファーが入り、人生の転機を迎えた主人公。しかし、久しぶりの故郷で本当に愛する人と再会する。


仕事を取れば、今後も世界を飛び回ることになる。そうなれば、当然国に両親がおり、責任ある職場にいるヒロインとは離れ離れになる。


結末は、それぞれ感じるところが違うかも。


私は映画とは違う形で2人で手を取り合って生きていくことも出来るのではないかと思ったけど。


それこそ、向こう見ずな道を…


結局、夢は夢のままで現実を生きろってことなのかなぁ。


ラストはなんとも言いようがないけど、本編で度々登場する歌と踊り。特に群舞は素晴らしい。


あれだけの人数があれだけ密集して踊る様は、もうサイコーヾ ^_^♪


更にこの映画はインドのやたらとハデハデな結婚式の様子を取り上げていて、もうため息。5日間も結婚式をするって、いったい何をやったら5日もかかるのかってくらい、これでもかこれでもかと…


お国柄とはいえ、みんなが新郎新婦を精一杯祝福する姿がなんとも感動的。


もうお祭り騒ぎヽ(^0^)ノ


こんなシーンを観るのも楽しい映画だった。


あの華やかな群舞シーンは、やっぱり劇場の大きなスクリーンで観た方が良いと思う。


最後に、父親の死にめに会えなかっ主人公。葬式さえ間に合わなかった彼が久しぶりに実家に帰り、父同様寝ないで彼の帰宅を待っていたらしい継母との語らいが胸を打つ。


10代の頃、父に逆らい、継母に冷たい言葉をかけ、反抗的な態度で接していた彼を継母は優しく抱きしめる。


なんと愛に溢れたお義母さんなんだ。彼はこうした支えがあってこそ夢を追えたのだと知る。


素敵な家族愛、親友愛を見せてもらった。


ラストの選択は無条件にオッケー出来ないけど、でも、とても愛に溢れた優しい映画だった。


歌も踊りもストーリーの邪魔をせず、むしろ感動もの。


長いと敬遠してるムキもあると思うが、この映画はお勧め。