今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

犬の掟


警察小説ファンの私。ぼんやりしてる間に新刊が登場してました(•́ε•̀;ก)💦


「犬の掟」佐々木 譲著(新潮社)


以下、感想…























人身売買、薬物、そんな世界で女性を騙して死亡させる一因となった男の死体が発見されたことから、物語は始まる。


事件の管轄署の警官たちは、関係のある人物たちを1人1人当たっていくが、捜査は警察の読み通りに進展しない。


所轄の捜査と平行し、新たな視点を持って捜査一課の管理官の特命を受けた捜査員が関係者を遠巻きに洗い始める。


その2つの捜査が交錯した時、それまで綻びを見せなかった犯人の姿がチラチラし始める。


いったいどこに焦点を持ってくるのか、解決の段階で全く違うところから犯人が登場してくるのかと思ったほど、話がよく見えない状況だった。


ただ、ある瞬間、普段穏やかな男が声を荒らげたところで、「あぁ、コイツが犯人なのか」と読み取れるようにお話が展開される。


捜査する側だった男の、特に動機も無い殺人。


彼が変貌したのはどこだったのか。


パトカーに乗って巡回する自動車隊の隊員が殺人犯を追い詰め、逮捕までこぎつけた時、死ぬほどの怪我を負わされ、その狂った犯人から銃口を突きつけられたのだ。


それまでに経験の無い恐怖の時間を同期の警官が自分の危険も顧みず助けに駆けつけるまで、彼はたった1人で耐え続けた。


心が壊れた瞬間だ。命こそつなぎ止め、職場にも復帰したが、壊れた心はもう修復出来なかった。


警官も人間だ。特に厳しい命の危機に際し、普通の人では考えられない恐怖を味わう仕事だ。警察官だから、私たちより強い訳では無いのだ。


自分の心が死んだ場所に、本当の死に場所を求めてたどり着いた警官の最期。


なんだか、いつもと違う。事件解決をメインとする警察小説ではないんだな。


主人公が警官だという小説なのだ。


なかなか、ヘビーでした。