今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

オリーブの樹は呼んでいる


試写にて。市ケ谷、いや麹町にあるスペイン系の文化施設セルバンテス東京のホールで鑑賞。素晴らしいホールでした。ただ、運営側に物凄い問題あり。


まだ、空いてる席がある段階で通路に補助椅子を並べ始める始末。その並べ方も、何にも考えてなくて…私は通路側に席を取ったんだけど、私が通路に出る所に椅子を並べられて、すぐ出られない状況╮(๑•́ ₃•̀)╭その通路に並べられた席に座った人の頭が完全にスクリーンに被り、字幕が見られないΣ(゚д゚lll)人の頭の間から覗きみるしかない。私はスペイン語知らないので、字幕が無いと音声のないただの画像になってしまう。


通路に座る人の頭が動くたびに前の席の人が見える方にズレる。当然、私も字幕を読むために向きを変えたり、座りながら目いっぱい背伸びしたり…試写会はタダで見せてもらえるんだから、少々条件悪くても我慢しろってことなのか?落ち着いて観られた時間はほぼ無い…


試写状には、「満員の場合は入場出来ない」さらに「本編開始後は入場出来ない」旨の注意が書かれてるよね?満員だから補助席、本編始まっても入場は、おかしくない?断れよっ!!時間通り行ってる人を優先すべきでしょ?


こういう最悪の状況で観たら、良い映画も良いとは思えなくなるよ。


そうした悪条件の元での鑑賞だったことが作品への印象に影響したとは思いたくないけど、よく分からない映画だった。主人公に共感出来ないという意味で。


入口で貰ったチラシに「天使の分け前」の脚本家の話だと書かれていた。もうそこで、私にはちょっとダメかもと思ってしまった。あれ、「天使の分け前」を手に入れるために人を騙したり、勝手に忍び込んだり、それは犯罪じゃんって手立てを使って、手に入れる。それをおかしいとも思ってない話なんだよ。私にはどうしてもそこが引っかかって、受け容れられなかった。


この映画も失ったオリーブの樹を取り戻すために手段は選ばず的な映画なんじゃないかと…


まぁ、ほぼ予想通りの展開で、オリーブの樹を取り戻すことは出来なかったけど、それは当たり前のことで、何を言いたかったのかよく分からなかった(・_・;)


主人公が暮らす町はオリーブの木で覆い尽くされんばかりのオリーブ農家の町。しかし、手塩にかけた良質のオリーブから作るオイルは、今や工場で大量生産される安いオリーブオイルにその立場を追われ、大切なオリーブの古木を金に変える農家も出始めた。


主人公の祖父が大切に世話をしている2000年も自生しているオリーブの古木。それを売れば、生活の足しになると考える親世代。命を賭けて育ててきた木を売ることに祖父は反対するが…


(ここら辺りまで、字幕を盗み見るかのような状態での鑑賞だったので、今一つストーリーが噛み合わない…涙)年月が経ち、祖父は認知症が進み、家族のことさえ分からなくなる。そんな祖父を誰よりも愛していた主人公は、祖父のために、祖父がもう一度我に返るために古木を探そうと悪あがきを始める。


確かにその木がそこに居続けたなら、祖父はもっと違った人生が送れたかもしれない。でも、既に遅い。。。


しかも、売ったという事実(騙し取られたワケでもない…)がある以上、その何倍もの金を積んで買い戻すしか方法はない。そこんとこ、主人公は後回し。まぁ、そんなとこが共感できない第1の理由かな。


普通、移植された木は15年も経てば、枯れてしまっているものらしいが、その古木はしっかりと生き続け、ドイツのエコ事業を生業とする大企業のシンボルとして、玄関ロビーに飾られ、ロゴマークにもなっていた。


こんな状況の古木を取り戻すため、主人公は、現在の古木の持ち主をでっちあげ、その人とやり取りした嘘の手紙を町の人々に読んで聞かせる。


確かに愛するおじいちゃんを追いつめた古木の不在は主人公には耐え難いものだったのだろうが、古木の売り渡しをめぐる家族間の浅ましい考えが耐え難かったのだろうが、あまりにも幼稚で無鉄砲だ。この辺りで、映画だからね…って思ってしまったのが、最後(汗)


その後は主人公の行動に、反感しか抱けなくて、イライラしながら、ことの成り行きを観続けることになってしまった。


真実は小説より奇なりって言う。それほどびっくりするような事実だってある。でも、それは途中、途中に納得のできる行動や思いが伝わってくるから、とんでもない出来事でも受け入れていくことが出来るわけで、それが伝わってこないと「映画だから」とか「ドラマだし」という言葉で、どこか突き放して冷静に眺めようとしてしまう。


主人公の無鉄砲が、たまたま古木の持ち主の大企業の偽善的態度をよく思っていなかった世間の人々のデモを引き起こすきっかけになっていったけれど、それは主人公には全く意味の無いことだし。


結局、なんだったんだろう。


古木の埋まっていたところに古木からむしり取ってきた枝を接ぎ木して終わるラスト。主人公の無鉄砲な行動が親世代の改心をよんだとしても、おじいちゃんにはもう届かない。


主人公に共感出来ないというのが、そもそも映画全体の印象を悪くしてる。思い通りにならなくて、ただイラついてるようにしか見えない主人公。そこに彼女なりの悩みもあるのだろうが、それが伝わってこない。私はそこがダメだったな。残念だけど。


おじいちゃんと孫の美しい話のはずなんだけど。