今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ボーターライン ソルジャーズ・デイ


前作「ボーダーライン」はFBIの女性捜査官がテロ組織壊滅のための捜査の泥沼に巻き込まれていく過程を描き、ヒリヒリとした緊張感に観る者も追い込まれていくような感触の映画だった。


本作は、前作にも登場したテロ組織対策の特別捜査官とその工作員が主人公で、監督もドゥニ・ビルヌーヴからバトンタッチされた人。。。


さぁ、どんな感じになるか!お手並み拝見的な気分だったけど、どうして、どうして、本作も緊張感張り詰めた内容だった。


カンザスシティーで自爆テロが起きる。犯人たちはどうやってアメリカに入国したのか。陸路にも空路にも彼らの侵入した痕跡は見当たらない。最後の1つ、水路での不法入国ルートを追う中で、メキシコのマフィア同士をたきつけて、戦争を起こさせる作戦に出るアメリカ側。


しかし、自爆テロ犯はアメリカ国籍を持っていた。となれば、方向違いのアメリカ側の作戦は急遽打ち切られることに。しかし、現場では既にメキシコで戦争を起こさせる作戦はスタートしていた。


片方のマフィアの首領の娘を拉致して、彼女の安全を確保しつつ、さも敵対組織が手を下したかのように思わせる作戦だった。


娘はわずかの期間で考えられないほどの修羅場を目の当たりにする。自分の父親がその主犯なのだと自覚した娘。彼女に付き添う工作員は、かつて父親の部下に家族を殺された検事だと思い出す。全ての不幸の始まりは自分の父親だ。その上に成り立っていた自分の日常。


アメリカの作戦変更に伴い、娘と彼女に付き添った工作員は事情を知りすぎた人間として、殺害命令が下る。工作員はあくまでも工作員であり、アメリカ側の人間ではない。彼女にとって、唯一の拠り所は自分の父親を憎むはずの男であり、この工作員だけだったのだ。彼が密入国犯に銃撃された時、彼女は放心状態に。彼女の理解は追いつけない。


全編にわたり、ヒリヒリとした緊張感の元で進むストーリー。さらにその緊張を高めるような音楽。人が何人も殺されていく。それは殺戮シーンの舞台となる荒野の渇き具合にも通じて殺伐としている。


観終わって、疲れきった感じで「あぁ」と声が出てしまうような映画。荒野の一本道を行く車列がスクリーンに映るだけでハラハラしてしまう映画はそうそう無い。


事前に根回しして、安全を確認した荒野を進む車列。前後を挟むメキシコ警察の車両。まさか、彼らが発砲してくるとは思わない。ところが、車列を襲う敵が登場するのを合図に警察車両はアメリカ側の装甲車両を銃撃開始。


誰が味方で誰が敵かも分からないこんな状況下で、自分の正義を守る行動を貫けるのか。少なくとも、主人公たちは貫いた。


緊張感はハンパなく、シビれる映画だ。