新選組関連というか、土方歳三関連(笑)、読んだ!歴史を押さえた評論や研究書が多い新選組関連の中で、数少ない土方歳三のフィクション。
以下、感想。。。
いやぁ~、面白かった!まず、設定が奇想天外!土佐の坂本龍馬と新選組・鬼の副長、土方歳三が密かに幕命を帯び、行動を共にするのだ。
幕末も幕末。いよいよ慶喜が大政奉還を発表するかという時分。勤王方の首班である西郷吉之助と面談するために二条城を未明に出発した慶喜一行。
限られた者しか知らない隠密行動にもかかわらず、慶喜の一行に発砲する不届き者が!
大政奉還間近に迫っていたこの時期、誰に発砲されたのか分からない状態のまま、大政奉還に踏み切って良いのか…慶喜は混乱する。
単に敵方の薩摩や長州が起こした事件なら納得もしようが、大政奉還に反対する幕府側の身内の一部によるものかもしれない。
そこで、討幕側にも会津藩にも捜査のための手が打てる者が下手人捜しを命じられる。それが、大政奉還の想起人とも言うべき坂本龍馬と数多くの修羅場を生き抜いた土方歳三だ。
2人は正反対の性格で、何かにつけて衝突を繰り返すが、互いの力量はしっかり認め、最後は同じ目的のために力を合わせるようになる。ある意味、名コンビ結成だ!
史実は史実として、歴史の流れは変わらないが、それでも2人が遭遇するそれぞれのエピソードには著者の創作が挟まれる。それがとても良いのだ。
テレビやドラマの印象でしかないけれど、龍馬はこんな風に喋りそうだなとか、土方歳三ってこんな人かもとか、イキイキとした彼らの姿を思い浮かべることができる。
幕末に後世のために大きな仕事をした人は他にもいる。さらに2人がこの世を去ってからの新政府の時代になって以後、要職に就き、新しい時代を牽引した人もいる。
でも、それらの人々より鮮烈な印象を残す2人。その2人が、ほんの数日ながら、共に語り、共に歩き、時間を共有したという物語があっても良いじゃないか!