今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

新選組、敗れざる武士達


また1冊読みました!新選組の隊服、浅葱色の羽織と同じ色合いの目を引く表紙の単行本。


新選組、敗れざる武士達』山川健一 著(ダイヤモンド社)


以下、感想。。。













著者ご本人によると、この本は物語ではなく、あくまでも新選組に関するエッセイであり、歴史批評なのだそうだ。


新選組が大好きな著者ならではの表現で、当時の荒れ狂う日本という国を駆け抜けた国でもない、藩でもない独立した1つの勢力としての新選組の誕生から終焉までを描いている。


様々な文献を元に著者が考察する時代の流れ。ドラマに見られる新選組とは違う姿に触れられる。たとえ、どんなに好きな物でも文筆を生業にする人間として、自分の感情で進められなかったのだろう。しっかりと良くも悪くも新選組のその時を語っている。


著者の山川健一さんと言えば、私の若い頃は「今どき」の小説を書く人として、人気を博し、初期の小説はいくつか読んだ。例えば、ニューヨークを舞台にした小説は、読み手の自分が本当にニューヨークにいるかのような気にさせられる不思議な小説家だった。


まさか、幕末の時代物について、小説ではなく、歴史批評を書かれるなど想像も出来なかった(笑)。本作と同時に「幕末武士道、若きサムライ達」というタイトルのエッセイも出版されたそうだ。こちらも読まなくては!


本文中、様々な資料を読み込んだ結果として、何度も出てくるのは著者自身の類推や希望。そうした物を脚色して、いつか新選組の小説を書いてもらいたい物だ。


山川さんの新選組の小説を読んだら、きっと読み手は、あの時代にいるかのような錯覚の中で、新選組を、土方歳三を見つめられるだろう。


相変わらずの感覚に感動すると共に楽しみが増えた。