今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

THE GUILTY/ギルティ


WOWOWで定期的に放送される「北欧サスペンス」枠。その中でも、スウェーデンのドラマ「凍てつく楽園」は楽しみにしてる作品の1つ。


この映画はデンマーク映画だが、北欧の括りで言えば同じ色合いの作品だ。そして、注目の点が「凍てつく楽園」の主人公である刑事を演じてるのが本作の主人公だ。ヤコブ・セダーグレンがその人。


観た人の評判も良く、ミニシアター上映なのに結構上映回数も多い。しかも、ヤコブさんの主演。そりゃあ、観ておかないと!


ということで、一部営業再開になったTOHOシネマズ日本橋で朝イチの回を。休日の朝イチ。場内は半分以上埋まってて、その注目度の高さに驚く。


まず、警察の緊急通報を受け付けるコールセンターが舞台。と言っても、対応職員はほんの数名。かかってきた緊急電話を受け、それぞれの内容を聞き、担当部署に繋ぐのが仕事。けして、それ以上の任務は無い。


主人公の元にかかってきた1本の電話。元々捜査官として事件現場を歩いてきた彼の勘が普通ではない何かを感じとる。


通報してきた女性は誘拐されたことがわかり、家には幼い子供を残してきている。実際に現場に捜査員を向かわせる分署の担当官に繋ぐが、彼は独自に被害者、その子供に連絡を取り、事件に関わっていく。あきらかに越権行為。


話の展開の中で、彼はある捜査現場でのミスを犯し、その懲罰として緊急電話室に勤務しているらしいこと、さらにその件で翌日裁判で審判を受けるらしいことが分かってくる。


舞台は1つ。主人公の動きがほとんどで、同僚との絡みもほとんど無い。しかも、事件の被害者と思われる女性もその他、彼と関わる人たちも電話の音声だけ。


彼らの話す言葉1つ聞き逃すことはできない。電話の先の場面が見えないことで、映画を観る側は交わされる言葉の中からヒントを見つけ、想像する。


目で見ることの情報量というものをあらためて感じる映画だ。音だけだとその言葉に含まれることの意味が人それぞれの想像力に任されることになる。


ある意味、その試みが面白い映画なのであって、ストーリーよりそちらのおかげで皆の評価を高めているのではないか。


言葉のやり取りに頼りきった観客は、主人公と同様の思い込みからどんでん返しにあう。けれど、彼の言葉はちゃんと通報者の女性に届いていたことが分かるラストで少し救われる。


ワンシチュエーション・ドラマで、主人公のやり取りが電話だけ…このアイデアがまず引き付ける。そして、言葉のやり取りだけで展開するストーリーの中に思わぬ伏線を張り、ラストへと持っていく。脚本が良くできてると思った。既にハリウッド・リメイクが決まってるというのも納得だ。