今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

運び屋


御歳88歳のクリント・イーストウッドが90歳の麻薬の運び屋を演じる。伝説の運び屋と称される主人公、これは実話だそうだ。ある新聞に掲載された記事に着想を得て映画化されたそうな。。。


「アリー/スター誕生」でメガホンを取ったイーストウッドの弟子と言われるブラッドリー・クーパーも運び屋を捕まえる捜査員の役で出演している。


かつての銀幕のスターも顔は皺くちゃになり、背中は少し曲がり気味。それでも、この役を演じる上ではむしろぴったりの風情だ。


ユリの栽培農家で材を成した主人公だが、家族は二の次で仕事に没頭し、手にした金で女性との付き合いに精を出す。いつしか花の販売にもインターネットが登場するが、彼は昔のやり方を貫き、時代に取り残され、金も家族も全てを失う。


金が無ければ、ボロボロのトラックも換えられないし、家族との繋がりも保てない。彼は、孫の知人から紹介され、頼まれた物を届ける仕事を始める。彼にしてみれば、好きな運転をし、指定された町まで行くだけなのに、驚くほどの報酬がある。危険な物を運んでいるのだと感じながらも、楽しいドライブを続ける。


組織から指示されたルートと時間をきっちり守ることを要求されるが、彼は思いのままに運転し、慌てることが無い。そこがまた読みにくい(疑いがかかりにくい…)と組織のボスからは認められている。


そして、自由にドライブ感覚で運び屋稼業に勤しんでいた頃、彼の妻が病に倒れる。散々苦労をかけてきた妻。妻の最期に立ち会うため、彼は仕事を途中で放り出す。組織も警察も運び屋の所在を血眼になって探すが、1ヶ月もの間行方不明になる。ただ、妻の側に付き添ってただけ…


最後は、仕事や金より家族を取ったことで、それまで疎遠だった娘とも和解し、敢えて闘わず、罪を認め、塀の中で大好きな花を育てて過ごす。


波瀾万丈な主人公だが、どこかのんびりとしていて、悪者にも臆するところがない。不思議な老人だ。園芸農家時代に好き勝手に生きてきた経験が活きてるのか。こんなことになるなら、それで苦しんだ家族には皮肉な結果だな。


今後も監督稼業は貫くらしいイーストウッド。あと何回、彼をスクリーンで観られるんだろう。彼の年齢でこなせる役もそう多くは無いだろうから。。。