今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ふたりの女王 メアリーとエリザベス


もう公開からだいぶ経つので、劇場で観るのは諦めていたのだが、なんとシネスイッチ銀座で上映が始まった。ネット配信公開で話題を呼んだアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA」を公開したり、なかなか良いお仕事をなさる。


名画座にかかる一歩手前の時期ということもあるのか前方の席以外はかなり埋まっていた。


エリザベス一世の頃を描く映画は数多い。「ブーリン家の姉妹」の後の世代ということになるのかな?エリザベスとメアリーの戦い!描かれるのはいつもこの「戦い」なのだが、この度は、2人が共に女性だったということに重点が置かれてる。


メアリー役のシアーシャ・ローナンとエリザベス役のマーゴット・ロビーのダブル主演と聞いていたが、どちらかと言えば、メアリーに重点が置かれていて、エリザベス視点で描かれてきた映画とはメアリーの描き方が違う気がする。


エリザベス視点で描かれてきた映画では、メアリーは腹黒い策略の人のような印象を受けたけど、本作ではそんな感じは一切受けない。


圧倒的な男尊女卑の社会にあっては、いかに女王と言えども何1つ自由にならず、女王を支えようとする人々の腹には女王を利用して国を手中に収めようという魂胆がうごめいている。


そこで、エリザベスは男として生きる道を選び、メアリーは女として生きる道を選んで対抗しようとする。


以前「エリザベス・ゴールデン・エイジ」を観た時に戦う女王がなぜ1人立ち上がろうとするのかよく分からなかった。こうした時代背景を考えれば、彼女たちの選択は究極なのだと分かる。


エリザベスの後を継ぐのはメアリーの産んだ息子。この辺りも圧倒的な男社会で孤独に戦った2人の共戦の結果と言えなくもない気がした。


歴史を描く映画を楽しむためには、やはりその時代の背景を知っておくことも大切な要件だ。さらに、1つの事象に対して、視点が1つではないということも。


時代を感じさせると言えば、衣装が良かった。特にメアリーの衣装は素敵。シアーシャ・ローナンは背が高いはずだが、それを活かした衣装で、あのボレロ風の上着は欲しくなった!


イギリスを描く映画は総じて画面が暗い。この国に晴天は無いのかと思うほどで、描き手に灰色の雲に覆われたイメージを持つ者が多いのか。また、その灰色の背景が似合うのもなんとも言えないんだけど(汗)。


若手女優の中では、アカデミー賞主演女優賞を受賞してるジェニファー・ローレンスが注目されてるけど、彼女より年下でしっかりキャリアを積んでるシアーシャ・ローナンの凄さ!今後も楽しみ。