今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

キングダム


マンガ原作ながら、「アベンジャーズ」に対抗するほどの大ヒットとなった本作。レビューで見かける評判もそこそこ良いので、劇場へ。


原作未読なので、ストーリーや原作との調和については何も言えないけど、中国ロケしたと思われるスケール感は邦画にはあまり見られないレベルなので、そこは素晴らしいなと。


何層にも連なる王宮の建物を見ると古代中国の強大さを思い知る。ただし、全てが現地ロケによるものではないだろうなと。CGでより誇張されたものだろうけど、そのくらい凄まじい権力が集中してたと暗に伝えるもので、いや恐ろしや。


室内のシーンは当然ながら、スタジオ・セットだろし、王宮内に居並ぶ8万の中国兵士たちはCGだろうけど、その部分とロケした現場との繋がりが今一つ連動してないのが残念だ。こういう部分って、あとあと振り返った時に意外に気になってしまう。


中国の建物は外観を撮るだけでも様々な許可が必要そうだし、そうなると致し方ないのかなぁ。


全体的にアクション多めなんだけど、このアクションがアクション俳優と言われる方が出演されているそうで、確かにその人の動きは素晴らしく、振り上げる剣先の揺れも無い。ところが、対する主人公たち出演俳優にはその部分で圧倒的に技量の差がある。


それをカバーするためなのか、カット割りがかなり多い。細切れシーンの連続になってる。邦画でも1カットで一通りの流れの中のアクションを撮れる日はやってくるのだろうか。


映画「銀魂」で銀時の小栗旬くんと高杉の堂本剛くんの殺陣シーンがあったけど、あれがまさにそれなのね。堂本くん一手の間に小栗くんは二手入れる。そうやって、アクションを同等に見せる工夫をしていた。そんな小栗旬くんでも「銀魂2」の万斉との戦いでは舞うように殺陣をつけられたようで、今一つキレが感じられない。


本作では、そこを俳優の手を増やすのではなく、カット割の映像の技術で増やしてるように感じたのね。アクション多めの映画でこれは残念だなぁと。アクションキレキレの俳優さんを使って、これではもったいない。同等に出来ないなら、戦わせなければ良いのに。他の形でアクションの極意を観たかったなぁ。


長澤まさみさんは山の民の頭領の役で登場し、確かに新境地かもしれないけど、彼女の戦闘アクションは相手が彼女の動きに合わせてるようにしか見えなくて、衣装やセリフ回し、立ち姿などかっこ良く決めていたのに残念だったな。


まぁ、橋本環奈ちゃんは今回は論外かな。たった50人しか王宮内に入れないのに、何にも出来ない子がそこに入るっておかしいよ。とても快活で楽しい俳優さんで良い役を演じてる人だけにもったいない。


全体として壮大なスケールの吉沢亮PVという感じの映画だったので、確かに吉沢亮くんはカッコ良かったのだけど、アクションはやっぱりちょっと物足りない。あんまりいろいろ出てるのを見たことがないので、優しいお顔のわりに低音の声が1番印象に残ってるわけだが、ラストの王宮内での戦いで味方を鼓舞するために声を張るシーン。これはカッコ良かった。あぁ、こんな風に声を張ったほうが活きる人なんだなぁと。顔が優しいから損してるなぁ。強いパンチのある役の方が活きるなぁと。


でも、カッコ良さでは「銀魂2」の「死んじまいな!」には敵わない!誰であれ、あれ以上はなかなか難しいと思うぞ(笑)。


原作ファンの方々にはどう映ってるのかな?スケール感だけでも、邦画には珍しいくらいだし、続編の話も出てくると思うけど、これは秦の始皇帝の若かりし頃の話のようだから、ここから先は遠い道のりだ。当然俳優も今の人たちとは世代が変わっていくだろうし、簡単な話ではないんだろうな。


でも、中国統一へ向けて立ち上がった直後の話なら、今のメンバーでも出来そうだし。アクションの問題や連動性の問題をクリアした上で続編を期待したいなぁ。


銀魂」みたいな笑える作品ではないので、詰めを甘くしてしまうと嘘くさくなってしまうから、きっちりかっちりと描いた続編を観てみたいなぁ。


そうそう、オープニングで「秦」の話だとナレーションが入るが、その直後から登場人物たちは思いっきり現代の日本語をバリバリ喋る。「のだめ」のフランスver.で最初に「日本語に翻訳してお送りします!」っていう笑える注釈が入るのを思い出してしまい、のっけから笑ってしまった。そして、いつ注釈が出るのだろうと期待して待ってしまった。


そんなギャグ映画ではないので、当然ながら、そんな注釈は登場せず、最初の数分は損した気分(笑)。


原作は長大な作品だろうから、どんなに端折っても長尺は致し方ない。途中、ちょっと飽きるところもある。それをカバーしてあまりあるほどではないけど、観て損は無いエンターテイメント作品です。というわりには残念に思う場所も多かったけど。。。(汗)


山崎賢人という俳優さんを初めてしっかり観た。彼の作品は見たことがなかったから…この役はまずアクションが必須で、セリフ回しなどはその次で良いと思うが、基本の剣の振り方だけでももう少し緊張感を出せたら良かったかな。強そうに見えないから。大沢たかおさんは特徴ある喋り方で登場。こういう役回りで出演されるとは…おそらく出演にあたり、体をパンプアップしたのだろう。二の腕辺りの筋肉の付き方は凄い。でも残念ながら、二の腕辺りしか見えない武具を着込んでるので、単に太ってるようにしか見えない…


なんか物凄く頑張ってるんだけど、残念なところが目についちゃう。映画やストーリーのスケールのデカさに人間の方が諸々ついていけてない感じ(汗)。だからかな、スケールの大きさにワクワクしないし、強大で不気味な敵の登場にドキドキしない…


スケール感のデカい映画はストーリーを追うよりドキドキ、ワクワク感に気持ちが昂ぶることで、観終わった後の満足度が違う。ストーリーなんかブッ飛ばして、そのドキドキ、ワクワクした気持ちがその映画の感想として残る。舞台は整っていたのに、そんな着地をしなかった。それが残念。