今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

パピヨン


スティーブ・マックイーンダスティン・ホフマン主演の「パピヨン」のリメイク版。当時の記憶としては、死ぬほど高い崖から飛び込み最後の脱獄を果たすシーンが目に焼き付いていて、それ以外は覚えていない…それほど、強烈なシーンだった。


本作はそこに至るまでがじっくりと描かれ、わりとあっさり海に飛び込んじゃった感があった。やはり、人間の記憶は怪しいものだ(汗)。


チャーリー・ハナムという俳優さんの映画をちゃんと観たのは初めてだが、時々マックイーンを思わせる雰囲気や表情がなんとも言えない。似せてるわけじゃないだろうが、やはり、俳優の世界で好まれる風貌と佇まいというのはあるんだなぁと。


ラミ・マレックダスティン・ホフマンとは違う雰囲気だけれど、ドガとしてはピッタリだ。


手を出してはいけない女に惚れてしまったパピヨンは殺人の濡れ衣を着せられて、国債詐欺に関わったドガは妻と弁護士にすぐに控訴を認められると説き伏せられ、監獄島に送られる。


そこは人を人とも思わない劣悪な環境下にあり、彼らはそこの開発の働き手として重労働を課せられる。


生への執着が強く、脱獄を視野に入れているパピヨンとカネ目当ての囚人から身を守りたいドガは互いの利害が一致して近づいていく。パピヨンの男気とドガの真面目さ。2人は互いを信頼し、その絆は強く結ばれていく。


正気を失わず生き抜く人がほとんどいないという過酷な独房生活を耐え抜いたパピヨン。彼のこの精神力はどこから来るのだろう。オリジナルの映画化に際して、パピヨン自ら描いた原作はあまりに自身礼賛であると批評されていた記憶がある。確かに自分に都合よく書かれているかもしれないが、それは生き残った人間の特権だ。


そんなの、様々な歴史描写が勝者の都合で良いように書かれているってことをみんな知ってるじゃないか!そんなことを置いといても、常人では生き抜くことも稀な環境下を生き抜いたのだ。しかも、濡れ衣で…


こうした事実の公表は、彼を陥れ、彼に過酷な運命を背負わせた者たちへの復讐なのだろう。そして、ただ1人、自分と心通じた友への思い。諦めてしまった友への…


133分という長尺が全く気にならなかった。スピーディーでテンポあるアクション映画でもないのに、これは凄いことだ。オリジナルを全く知らなくても、十分楽しめる。最後の脱獄シーンしか覚えていない私などオリジナル未見とほぼ同じ(汗)だが、それでも堪能できた。


パピヨンはフランスが舞台なのだ。その上、舞台となった監獄島は仏領ギアナ。全くの勘違いだが、監獄島はアルカトラズ刑務所だと思いこんでた私はアメリカが舞台の話だと思い込んでいたわけだ(汗)。アルカトラズと言ったら、映画「告発」。あれも過酷な映画だったなぁ。