新選組本にまた戻りました!小説系はもうそろそろ古い物ばかりになってきた。そんな中で、まだ読んでなかった本書を手に取る。
以下、感想。
「バラガキ」とは触るとケガをしそうな茨の棘のように尖った人のことらしい。
土方歳三が京に上って、新選組の副長としてその名を馳せる遥か前、日野の石田村に居た頃、手のつけられないヤンチャな暴れん坊として、村で彼を知らぬ人はいなかった。その時につけられた不名誉な呼び名ということ(汗)。本人は不名誉などと思ってはいなかったかもしれないけれど。。。
京の洒落た町の中で、寄せ集めの集団は随分と蔑まされ、警戒されたことだろう。壬生狼と揶揄された頃から、その名を一気にノシ上げる池田屋事件に至るまでの土方歳三が描かれる。
本作に登場する土方は、べらんめい口調で、ガラが悪い。日野は確かに田舎かもしれないけど、豪農の家に育ち、出来は悪くても俳句を嗜み、剣術の素養もある。そんな彼が、こんなにお下品でがらっぱちではないだろうとは思いつつ、その実、ノリはこんな感じで京都に足場を築いていったのかもしれないなと思ったりする。
常識に囚われるような人間ではあの時代を生きてはいけなかったろうし…
行きあたりばったりみたいな日々の中でも、彼らの進む道は少しずつ絞られていき、当時稀に見る実態の伴った剣客集団だった彼らが日の目を見るのは当然かもしれない。
命のやり取りを苦にしない狂気の集団なんだから。けれど、最終盤はそこを口だけの輩に利用されてしまったようにも思う。
本作はそんな最終盤は描かれない。あくまでも、これから成り上がっていくところで終わる。何しろ副題に「青春譜」ってあるくらいだから。
小説としたら、面白いと思う。ただし、あくまでも無駄口を叩かず、冷静でカッコいい土方歳三像を思い描いてる人には受け付けられないかもねぇ(笑)。