今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

男はつらいよ50 お帰り 寅さん


よみうりホールの試写にて。うん、良かった!


やっぱり、寅さんは日本映画の要です。渥美清さんの四角いお顔と優しい笑顔が寅さん映画には欠かせないけど、その姿が見えなくても、時は経っても、そこに寅さんは確かに存在しているのだと実感できる映画でした…


これほどに役として人の心に残ってる人物は少ないだろうなぁ。寅さん以外でパッと思いつくのは、藤田まことさんの中村主水東野英治郎さんの水戸黄門、それに同じ寅さんご出演の笠智衆さんの御前様。


お話は、長じて家庭を持った寅さんのかわいい甥っ子、満男が主人公だ。土手沿いに住んでいた両親は、「くるまや」を営んだ叔父夫婦が亡くなった後、店を人に任せ、奥の部屋で暮らしている。満男の実家は「くるまや」になったのだ。


色んなものが時代と共に変化していった。ひろしさんとさくらさんのご夫婦もすっかりおじいちゃん、おばあちゃんだ。和室への上り口に手すりが設置されているのも時代だな。


6年前に亡くなった満男の妻、ひとみさんの法事から始まる物語。勤め先を辞め、小説家としては駆け出しの満男が中学生の娘との2人暮らしの中で、迷うこと、悩むことが起きた時、「おじさんなら…」とふと立ち止まる。


そんなお話の流れに沿って、それぞれの寅さんの思い出が回想シーンとして登場する。それが昔の寅さん映画のエピソードなのだ。あぁ、寅さんはこういう人だよなぁとか、あぁ、寅さんはやっぱりこう言うよなぁとか…


満男と言えば忘れちゃいけないイズミちゃんも登場する。これは回想シーンだけでなく、現在のイズミちゃんもだ。リリーさんも現在のお元気なリリーさんで、満男のよく行く落ち着いて話ができる神保町の店のママとして出演する。


寅さん映画を全て見たわけではないし、あれが良かった、これが良かったと言えるほど知らないけれど、それでも懐かしさを感じる映画なのだ。


吉岡秀隆さんは昭和も令和も小説家なんだなぁ(笑)とか、後藤久美子さんはなんとも言えず美しい女性になったなぁとか、さくらちゃんの若い頃はお人形さんみたいに可愛らしいんだなぁとか、孫のユリちゃん役の桜田ひよりさんは若い時のさくらさんを思わせるなぁとか…


お仏壇にはおじちゃんとおばちゃん、そして満男のお嫁さんの写真しか無かった…寅さんは相変わらず、フーテンの寅さんなんだなぁとか…


ラストで、これまでのマドンナたちのワンシーンが連続で流れていった。まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」の繋ぎ合わせたキスシーンみたい…なんとも言えず胸をうつ。思わず涙を誘われそうになったぞ!


終映後の拍手の大きいこと。たまに試写会で拍手がおきることがあるが、大概はパラパラだ。でも今回は結構絶大な拍手だった。確かにそれも頷ける。


そうそう、帝釈天参道のシーンで「高木屋」さんの看板が大きく映し出された。これまで撮影に力を貸してくれた地元の人達への思いも映し出されたようだ。