今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

承久の乱 日本史のターニングポイント


雨が続きます。読書には良い時間。ほどほどに降るならね。ところが、九州に留まる「線状降水帯」というバカものが、物凄い量の雨を降らし、九州の人たちを苦しめている。


町に水が出るって、ホントに怖いんだ。子供の頃、0メートル地帯で育ち、ただの夕立ちで30分ほど強い雨が降っただけで、あちこちで床下まで浸水してしまうのを目の当たりにしてきた。


テレビでは辛い大雨のニュース。少し、テレビを消して、本を読む。


承久の乱 日本史のターニングポイント」本郷和人 著(文春新書)


以下、感想。。。

















小栗旬くんが再来年の大河で主役を張ることになり、演じる北条義時を知ろうと本を探したが、だいたい北条義時って物凄い事を成し遂げたのに全然表に出てこなかった人なのだ。


北条義時を知るのに1番だという「承久の乱」を読んでみようと手に取った。


以前、中公新書の方の「承久の乱」を読んでるが、とにかく、後鳥羽上皇寄りの内容で面白くなかったし、読むのが辛かった(汗)。


ところが、本作は面白くって、良かった。別に北条義時寄りというわけではなく、当時の世相や時代背景をちゃんと分かりやすく提示してくれて、そこで歴史を論じている。


荘園制度とか教科書や歴史の本でよく目にするけど、その内容をどれだけ把握してるだろう。そんなところもチャチャッと説明があってから次に進むので、なるほど当時の武士たちの考え方を知った上だとより理解も進むなぁと。


スーパーマンだった後鳥羽上皇にばかり目がいくこの時代。ところが、過去にないスーパーマンが登場してきたにもかかわらず、それまでの天皇中心の時代が終わりを告げるって、とっても皮肉。さらに、そうした武士の時代を呼び込んだというか、起源となった源頼朝はきっかけを作っただけで、肝心な時には既にこの世にいないって、それもどうなんだって。


北条義時って、そうした時代にあって、自ら進んで権力の座を手に入れようとしたわけでもなさそうだ。たまたま、自分の姉が大恋愛の末に嫁いだ男が時の権力者である平家に敗れて預かりの身となっていた源頼朝だったというのが、義時サクセスストーリーの始まりだった。


これから世に出る若い時期に強烈なインパクトのある男と出会い、身内となって、すぐ間近で源氏の頭領たるその男の生き方、考え方を学んだことがなによりその後の義時に大きな影響を与えたのだと知った。


まだ、社会的にもそれほど立場の無い早いうちから頼朝の側近衆に加えられたのも大きかったのだろう。頼朝は義時の中に何を見出したのだろう。側近衆の中では1番若かったと聞いたことがある。頼朝亡き後、将軍を囲む「鎌倉殿の13人」による合議制の中に最年少で名を連ねたことからしても、彼は能力が高かったはずだ。


彼の息子、泰時は鎌倉時代を代表する名執権だ。頼朝の側で学び、頼朝が目指した鎌倉幕府を形にし、その後を息子に委ね、その息子は善政を行なった。義時はまさに時代のターニングポイントを生き、自分たち、武士にとっての社会の基盤を作った、物凄い人なのだった。


三谷幸喜が描く北条義時が楽しみだ。時代のうねりの中でただ単に有能な官吏だっただけでは生きてはいけなかったろう義時の生き様をいかに描き、それをどう小栗旬くんが咀嚼していくのか…早く見たい。


資料が無いから創作が可能な明智光秀の「麒麟が来る」。コロナで撮影中断になり、放送もお休み中だ。創作可能だからと言っても話の進みが遅すぎる。ご本人に何の罪も無いのだけど、門脇麦ちゃんが演じる女の子のエピソードなんて要らなくない?帰蝶だって、ほぼ資料に無い人をあそこまで重要に扱わなくても…(汗)。中断期間でちゃんと整理して、予定期間内で終わってほしい。明智光秀が出なくても成り立つ話ばかりでは面白くないし、無理がある。来年の渋沢栄一翁の話も吉沢亮ってイメージ沸かないし…(汗)。もう大河は1年保たないと思う。北条義時も資料が無いなら、無駄に盛らず、必要なことを必要なだけ描いてくれた方が、きっと良いと思う。ただ、それが出来るのかは別の話…