今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

頼朝と義時 武家政権の誕生


正月に始まった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」もおよそ1/3弱が放送を終えた。でも、まだまだ13人は合議してない(汗)。


ドラマの時代考証を担当する1人となった呉座勇一氏の著作を手に取った。ところが、彼はTwitter上でのやり取りが問題視され、放送開始前に辞退することになった。でも、とりあえず、読んどこ…


「頼朝と義時 武家政権の誕生」呉座勇一 著(講談社 現代新書)


以下、感想。。。。。


















タイトルからしたら、義時もずいぶん語ってくれるのかと思ったが、違った(汗)。


鎌倉幕府の成立までに多くのページを割く。確かに何も無いところから成立する鎌倉幕府を描かなければ、頼朝も義時も登場しないのだが…


史伝というのでもなく、様々な論文や論説を参照しながら、鎌倉幕府を描く。鎌倉幕府を語る上で参考となる文献を考察していく過程は面白い。


同じ歴史上の出来事でも、研究者によって考察した結果に違いが発生する。鎌倉幕府は歴史的資料も一次資料と考えられるものが少ない。人気の戦国時代や幕末よりずっと以前のお話だものねぇ。


北条義時という人は、資料も少ない上に、歴史的出来事でもそれほどの存在感を示さない。それは単に地味だったのか、敢えて表に出ない戦略家だったのか。自分を取り巻く人々に様々な意見を求め、けして自分1人突っ走る人物ではなかったのかもしれないが、最終的に幕府としての決断を下すのは義時だ。


承久の乱は義時だから勝てたと思うし、義時だから三上皇配流という結末を得たのだと思う。頼朝にはそんな発想はないだろう、貴族だから…


結局、2人の決定的な違いはそこなのかもな…と。面白かったけど、小説と違うから、どっぷり一気に読む感じでもなかった。大河ドラマがきっかけで、その時代を深堀りするのは毎年のことだけど、小栗旬くんのおかげで鎌倉幕府成立の頃をさらに深く知ることができた。


今後の展開も楽しみな大河。


なお、あとがきに呉座勇一氏本人が、大河の時代考証を外れることになったことを侘びてる部分もあった。やはり「言葉」は大事。言葉を大切にしない人はトラブルを生み出す。単に頭が悪くて言葉を知らないと言うなら、目はつぶりたくないけれど、仕方ないと諦めるかもしれないが、呉座氏は、若き研究者で優秀なのだから、この度のことをしっかり胸に刻んで、改めるべきところは改め、真摯な態度で研究に向き合い、さらなる成果を発表できるよう努めてほしい。


問題発生後、著作のあとがきに反省や詫びを載せられるって、ある意味、チャンスを与えてもらったってことだから、なおさら今後の有り様が注目ということだ。