今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

インフルエンス


現在、WOWOWドラマWで放送中の「インフルエンス」。「コールドケース」に続いて、面白いと相方が推してるドラマだ。


原作があるというので、読んでみた。調べてみたら、「サクリファイス」の作家さんだ。「サクリファイス」も話題の小説だから、今度読んでみよう。


「インフルエンス」近藤史恵 著(文藝春秋)


以下、感想。。。
















小説を読み始めた時にはドラマは2話終了時点だった。翌週の3話までに読了。というか、時間と気持ちの余裕があれば、一晩で読めるほどの分量だ。


全5話で製作されているドラマと違い、文字で説明できる分、小説には情報が多い。ドラマ化するにあたって、削ぎ落とされた部分も多い。それは時間的制約があるのだから、映像化する時のお約束だし、仕方ないのだが、でも、里子の彼氏が犯した罪とその被害者の描き方は浅過ぎる。実情はもっと深刻だ。制約のある中でそこまで描くと焦点がぼやけてしまうと判断したのだろうか。ここは疑問だ。


話の展開もドラマと小説では、起点が違う。端から物語の登場人物たちの「居場所」に気づいていた作家と後から偶然知った作家。私は後者の小説側に軍配ありと思う。


誰の目にも留まらないほど目立たない女性が、彼女を取り巻く同級生の思いに絡め取られ、殺人を犯した。彼女が一線を越えたのには明確な理由はない。誰かのためでも、誰かを守るためでもない。犯した罪に対して、彼女には動機も必然も何も無いから、冷静に振り返ることができる。けして、サイコパスとかそういうことでなく、彼女には罪を罪として感じる深い因果関係が無い。だから、時が経った時、何事も無かったかのように振る舞うことができた。


タイトルの「インフルエンス」は「影響」とか「影響力」とか言う意味らしい。たまたま時を同じくして同じ団地に暮らした3人の同い年の少女が互いに影響を及ぼしあっていく。


人の命のやり取りをするほど濃密な間柄なのに、それ以外の普段は全く繋がりを持たない。そうやって何年も生きてきた少女たち。しかし、彼女たちは心の根本で繋がっでいた。何年もの空白も無かったかのように。


これを友情とか愛情とかいう言葉でまとめることができるのだろうか。


湊かなえさんのように後味が悪いわけではないが、どこか理解不能な心根に触れた気がして、気が重い。