さぁ、続編だ!
「正義の天秤 アイギスの盾」大門剛明 著(角川文庫)
以下、感想。。。
まず最初に。先に読んだ「正義の天秤」で気になった「師団坂」。結局、気になりつつ、本作を読み切ってしまった(汗)。
師団坂弁護士事務所ルーム1のメンバーの人となりも1作目である程度知れてるので、本作でいよいよ本陣へ突入。
鷹野を苦しめた恋人久美子の死。ある日暴漢に襲われ、瀕死の状態で鷹野の病院に運び込まれ、手を尽くしても助けられなかった。そして、最後に会った鷹野が彼女を殺した犯人だと疑われ、追い詰められていく。
鷹野は佐伯真樹夫弁護士に出会って救われ、「(鷹野は)私より良い弁護士になる」と言っていた久美子の言葉通り、弁護士への道を選ぶ。久美子の言うように「良い弁護士」になるためではなく、久美子を殺した犯人を見つけ出し、自らの手で殺すために。
かつては負け組としてニートに甘んじていたが、世の中の勝ち組に成り上がろうと不純な動機でチャレンジして弁護士になった杉村が担当した事件の被疑者が、実は久美子殺害の真犯人だったことが分かる。久美子殺害事件を調べていた事務所のメンバーは戦慄する。
そして、杉村の仕事の雑さ加減を叱責した鷹野はその真犯人の事案を担当することになった。法廷で鷹野は別件の裁判ながら、久美子殺害の復讐を果たそうと真剣に考えていた。
事務所の仲間は鷹野を本気で心配し、それぞれ事件を抱えながらも久美子殺害事件の背景を調べている。その思いを知りながらも、久美子が死んだ15年前の慟哭に捉えられている鷹野。
法廷で弁護士バッジを外して語る鷹野。その姿を見て、彼の深い思いを知る事務所の弁護士たちはただ祈ることしか出来ない。鷹野が一線を踏み越えるほどの苦しみを抱えていることを知りながらも、必ずや弁護士として、この事件に向き合ってくれと…
芽依が久美子の実家から預かってきた生前の久美子が使っていたリーガルパッド。そこには久美子の走り書きがあった。「鷹野は自分より良い弁護士になる」と…弁護士と医師は似ている。だから、彼こそ事件を介在して向き合う被疑者と被害者のそれぞれの思いを救い、治療することができると…
そのリーガルパッドを渡され、鷹野は最後の最後で踏み止まる。
既にいない久美子は彼に弁護士への道を開き、そして、本当の弁護士へと進むために後押しをした。
祈るような気持ちで裁判を見届けた事務所の仲間たち。感動するけど、うん感動するんだけど、テレビドラマの役者たちの画が思い出される。本作は映像的。
小説という形はとってるけど、映像化されやすい題材で、内容かな。こういうのもたまには良いかなとは思う。