今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

夜来香ラプソディ


現在、大注目の松下洸平くん主演の舞台「夜来香ラプソディ」を渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて観劇して参りました。開演して5日目。ちょうど折返し前のタイミングで観劇。


休憩20分を挟んで、ほぼ3時間の芝居。衣装チェンジのタイミングで捌けることはあってもほぼ出ずっぱりの松下洸平くん。


彼の芝居に多分1番合ってる役どころだったのではないかしら。


明るく、何事にも前向きで、人の気持ちに寄り添う服部良一という人を体いっぱいに表現していた。


服部良一さんって名前も顔も知ってるし、作った歌も少しは知っている。その彼が戦時中、日本の官軍の指示で上海に居たことは全く知らなかった。そこに、李香蘭こと山口淑子さんも関わりがあったとは…


歴史を知る良い機会になった。少し、私も勉強してみようかな。


途中、ピアノを少し弾くシーンが1回あって、アップライトのピアノだったので手元は見えなかったけど、あとのシーンで白洲迅くんが演じた中国人の青年が弾いた時とは明らかに違う音だったので、松下くん本人が弾いたんだろうね。


シアターコクーンで芝居を観るのは初めて。Bunkamuraオーチャードホールやル・シネマには何度も行ったことはあるんだけどね。まず、こじんまりとした劇場で広がり過ぎず、しっかり観られそうだなと思った。


もう今は無いけど、青山劇場のような広がりのある劇場は多くの人が見られるけど、芝居の中心が定まらないように思う。でも、それほど変わりはないのかも。劇場の座席の配置でそう感じたのかなぁ。


音楽ホールのドックヤード型(ワインホールだっけ?)とシューズボックス型とかね…


ホントは何回か観劇したかったけど、コロナの第6波の只中で、しかも映画5本分のお値段となれば、とても複数回は足を運べません。


S席なんて13500円だっけ?その他手数料やらなんやらかかるのだから、もうサラリーマン家庭の専業主婦には手の届かない状態。


それでも1度は観てみたい。そこで、自分の気持とお財布とを照らし合わせて、A席を選択。A席は基本的に2階席と思っていたから、オペラグラスを用意して申込み。チケットぴあでは座席選択は出来なかったから…


そしたら、中2階のバルコニー席。私は舞台に向かって右手だったので、上手で芝居されちゃうと全く観えなかったけど、基本的には中央が多かったから、それほど不満もなかったけどね。ただ、少なくともあるシーンはほぼ全て完全に見切れ状態(泣)。A席であれは確かに残念に思う人はいるだろうな…私は全く見切れ席の前方ブロックではなく、その後方の中央ブロックでしかも1番端だったので、出入りもしやすく、帰りなんか退場時も2階の扉からスッとオーチャードホールの松濤側に抜けられて全く混雑せず帰宅の途に。


また、座席シートもほどよい硬さで長時間の観劇が苦にならず、膝前も少し余裕があって、足もちょっとは伸ばせたのだ。赤坂ACTシアターの窮屈この上ない苦しみを思い出したなぁ。あれは酷かった。そして、なにより見切れがあったにもかかわらず満足度が高かったのは斜め上からだけど、舞台が近かったこと。板の上の松下くんの表情までしっかり観えた。


オペラグラスはどうしても観たいシーンだけ2回ほど使ったけど、ほぼ要らないお席。


こうした物理的な条件もA席としてはかなり満足度が高く、それほど不愉快ではなかった。むしろ、ラッキーなくらい。


そして、肝心のお芝居。


素晴らしかった。ホントに。完全なるストレイトプレイではなく、音楽に関係する人たちのお芝居なので、そこここで歌が入る。


松下くんが歌が上手いのはもう十分知ってるけど、白洲迅くんも上手い。さらに、李香蘭役の木下晴香さん、今回初めて知った女優さんなんだけど、歌の上手さは尋常じゃない。あの高音の李香蘭の歌を歌いきった。


戦時下の上海で様々な国の人々が集う「租界」を舞台に戦争で分断された人々を音楽で楽しませようというコンサートを企画し、実現するまでのお話。


芝居はそのコンサートを観ながら、そこに至るまでの過程を並行して、芝居で観る形をとる。映像作品なら回想として表現される部分を場面転換を上手く使いながら、同時に進行していく。演出家、河原雅彦の力量を見る思い。


無事にコンサートは終わるけど、だから平和になるわけじゃない。それでも、音楽は人の心の支えになるのだと語るこの物語。


ちょうど、国内ではコロナ禍にあって第6波がやっと落ち着いてきて、「蔓延防止」も解除になろうかという時期。さらに世界では、ロシアが隣国ウクライナにほぼ難癖としか思えない理由で一方的に武力による侵略を開始して、連日爆撃されたウクライナの街がテレビに映し出されている状況だ。


こんな時だからこそ、音楽には人の心を支える力があることを語るこの芝居が上演されたことは意味があると思った。


そして、その中心に立ち、音楽を語る服部良一さんを演じるのがが松下洸平くんで良かった。


テレビで見たいなぁ。いつか…