今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

北条氏の時代


大河ドラマ「鎌倉殿の13人」もだいぶ話が進み全体の1/3ほどが終わった。多分全44話くらいだと思うから、15話が終わった現在、これからいよいよ平家討伐に流れが向く。


独特の語り口でNHKの歴史関連番組によく登場される本郷先生の著作を読みました!


「北条氏の時代」本郷和人 著(文春新書)


以下、感想。。。

















 
大河ドラマの主役は「北条義時」。ドラマ関連で次々出版されるのは、やはり、頼朝、義時、政子のラインでの小説や歴史物、評論。それは仕方ない。ところが、本作はピンポイントで義時にスポットを当てるのではなく、義時を含む北条氏の興隆から没落を語る。


そのせいと言ってよいのかどうか、泰時の時代に入ると途端に面白さがなくなってくる。鎌倉時代は150年も続いたそうだが、興隆の時代の面白さに比して、北条家がある程度足場を固めた後は、その立場を守るためだけに必死になってるようにしか感じられない。


元々、政治の中枢にあった家柄ではなく、鎌倉時代に入る前は、その素性もはっきりしない小さな地方豪族だった北条家。


国を左右する立場を手に入れた一族なのに、ただ時代の勢いに乗っただけとしか言えないのが悲しい。


様々伝え聞くこの時代の様子から実際に鎌倉時代の舵取りを始めた義時について、明確な人物像が思い描けない。しかし、残された史実から、義時の対応が上手くいった結果の北条執権継承なのだろう。


本郷先生は鎌倉時代を中心とした日本中世史が専門だから、北条家にはいろいろとお考えもあるだろう。それを淡々と語るのが本書。


共に坂東武者の国を作ろうと頼朝の元に集まり、平家や朝廷に相対した御家人たち。北条家もそのうちの1つであった。それぞれが自分の土地(領土)を持ち、微妙なる緊張感を抱きながら大義のために手を握る。しかし、1つ山を越えると結んだ手のうちを互いに探り始める。その結果の小競り合いだ。


その結果、昨日の友は今日の敵状態を繰り返しながら、裏切りと報復の連鎖を生き抜き、北条家は坂東武者の頂点に立つ。鎌倉幕府崩壊の時、北条家と共に闘ったのはごく身内の人間ばかりで、御家人たちはいなかったという。


因果応報としか言いようのない北条家の最後。元寇時宗時代までしか知らなかったので、本郷先生の北条家の通史を読んだことでさらに冷静にこの時代を知ることができた。


その点は良かったが、ホントに泰時以降は面白くないので、戦国時代や幕末が人気あるのがよ〜くわかった。