今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

北条政子


大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も折り返し点に達しました。ドラマは栄耀栄華を誇った平家を戦の天才である義経が壇ノ浦で滅ぼし、いよいよ源氏の世が到来したところまでやってきました。


鎌倉時代は、やはり男の時代。その中で、源氏の頭領である源頼朝を支えた御台所としての一生を永井路子さんの筆で読みます。


北条政子永井路子 著(文春文庫)


以下、感想。。。


















久しぶりに分厚い文庫を読んだ。読めども、読めども進まない…北条政子の一生は、私にはあまり面白くなかった(汗)。


少なくとも、当時は女性が自ら人生を切り開くことなどできない時代だったろうし、たまたま彼女の前に訪れた「チャンスの前髪」をしっかり掴みきった人生ということなのだろう。


夫の頼朝は、父親が平家に戦いを挑み破れた戦に連座した罪で都から遠く離れた伊豆に島流しにあった。彼は流人として、知る人のいない土地で若き青春時代を過ごした。


質実剛健が鎧を着て歩いてるような荒々しい武士の溢れる坂東の地。都で生まれ育った頼朝には異世界だったろう。その異世界で平家に見咎められず、静かに息を潜め暮らしていた頼朝。


そんな男が坂東の地で伸びやかに育った政子と出会った。互いにその人となりというより、異文化に惹かれたんじゃなかろうか。その後は、なぜ自分がここにいるのか、この人と生きるのかなんていちいち考える暇なんてなかったんだろう。それほど、頼朝と政子を取り巻く「現実」は一気に動き出す。


永井路子さんの手になる頼朝と政子の物語は、書かれた当時としては最新の歴史観からヒントを得たものと思うが、研究が進んだ結果、永井路子さんの分析は間違いと認められているらしい。


でも、小説なんだから、それでも良いのだ!


主人公が女性の政子だから、鎌倉時代にもかかわらず、戦は前面に出てこない。だから、どこか物足りない気がする。だから、なかなかページが進まない(汗)。


あくまで、妻として、母として、政子の女性の部分の物語だ。だから、彼女が見届けた鎌倉時代の顛末全てを語るわけではない。血の繋がる夫や子、孫が全て喪われた時に彼女の物語は終わる。


尼将軍として、弟の二代執権、義時を支えた強い女性の姿は本書にはない。


妻として夫の不貞に悩み、母として子の成長に一喜一憂する、ただの普通の女性だ。


私にはあまり興味の湧く観点ではなかったけれど、女性の生き方という点で小説を読みたいと思う人にはおすすめなのかも…