今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

葉桜の季節に君を想うということ


新規にオープンしたショッピングセンターにちょっと小洒落た本屋が出来た。しかし、小洒落てるだけに使いにくい。小説は作家別に分類され、「新潮文庫」とか「文春文庫」とか出版社別に並んでいない…


この並び、ブックオフとおんなじだ。新刊書なのに…せめて、まだ誰も開いていない文庫は同じ出版社で分類してほしい。揃いの体裁で整えられた背表紙の並ぶ様を眺めるのも本屋での楽しみの1つなのに(怒)


その新規オープンの書店は店の中心部のメインの棚にテーマ別に文庫を面見せで展開していた。本作はそのなかの1冊。調べてみたら、新刊本でもなんでもない。カバーの装丁が変わったらしい…


「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午 著(文春文庫)


以下、感想。。。

















装丁が変わるくらいだから、人気の小説なのね、きっと。でも、タイトルも作家さんの名前も知らなかった(汗)。実はこの本文を打ち込むにあたり、「はざくら…」と打ったら予想変換のトップにいきなりタイトルの全てが登場した。これには驚きだ。


これは書店で本書に付けられていたポップに信憑性が出てきたな!と。


「みんな、騙される!」


このポップにある通り、本文書き出しの主人公の奔放な毎日に惑わされてしまった。そして、各章ごとに人の思い込みを上手くコントロールしながらお話が進んでいく。


麻宮さくらは蓬萊倶楽部の回し者…それは最初に分かったけど、麻宮さくら=古屋節子は気づかなかったなぁ…(汗)。そして、主人公の将虎の実年齢には驚いた(笑)。


将虎は話の展開では30代半ばくらいの青年に感じた。でもまぁ、よく読めば健康食品の即売会に行っても怪しまれないとか、捕まってもそれほど相手に警戒されないとか、やたら古い車に乗ってるとか、生業が警備員とか…高齢者要素が満載だったなぁ(汗)。


多分、話のテンポが良いから、一々引っかからずに読み進んでしまうんだな。これが小難しい文章や言葉が登場してたら、その度に引っかかって読み返されて、隠された(それほど隠してはいない…汗)言葉のトリックに気づかれてしまう。


読みやすい小説だから、最後までサッと読み進めてしまい、騙される。新手の手法だ。


ただ、残念だったのは最後の謎解き。これがまるで2時間サスペンスの崖の上だ。


ここをもう少しコンパクトに鮮やかに掬い取ってれば盛大な拍手の嵐だったなぁ…残念。


でも、サッと読めるのでほんの暇つぶしにちょうど良い。ただし、お話の実態として、とても厳しく怖い世界のお話だけれども。