今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

闇に咲く花ー愛敬稲荷神社物語ー


2023年幕開け直後に井上ひさしさんの劇団(と言っても良いのかなぁ…今でも)「こまつ座」さんが作品のラインナップを公開した。


8月の「闇に咲く花」のキャストに「松下洸平」の名が!演出は、もちろん栗山民也さん。


「闇に咲く花ー愛敬稲荷神社物語ー」井上ひさし 著(講談社)


以下、感想。。。

















井上ひさしさんの著作は数点しか読んでないな…どれも私には今一つピンとこない作品ばかりで、短編集の中の1作が心に残るような、筒井康隆状態の作家だ。あくまでも私にとって…(汗)


以前、小栗旬くんが蜷川さんの演出で出演した芝居、あれはタイトルなんだっけ(汗)


井上ひさしさんが当て書きしたにもかかわらず、小栗くんは当時の忙しさの中で、再演に参加できなかった。そのため、蜷川さんの逆鱗に触れ、蜷川さんの舞台に呼ばれなくなった。和解するまで数年かかったようだが、結局その間、小栗くんは他の演出家の舞台や映像作品で地場を築き、押しも押されもせぬ俳優になっていく。


その原作は読んだ。原作と言っても戯曲だが…本作も「闇に咲く花」と言う芝居の戯曲だ。


神田神保町周辺を舞台にした物語。時は第二次大戦後、マッカーサーが戦後処理のために日本にやってきた頃。愛敬稲荷神社の宮司とその神社にあるお面工場で働く戦争未亡人たちの日常がお話の始まり。


未亡人たちは苦しい生活の中にあって、宮司の運営するお面工場(祭で売ってるヤツね!)で働くことでなんとか食べていけている。彼女たちはみな錦華小学校前のアパートに住んでいる。


錦華小学校…懐かしいなぁ…夏目漱石の母校だ。でも、既に今はその名はなくなり、「御茶の水小学校」という名になっている。お茶大に対抗してるのか?茗荷谷じゃなくて本家本元お茶の水にあるのはこっちだと…


そんなことは置いといて…


闇米を手に入れるためにわずかに残った金目の物を農家に持ち込んで暮らしている彼らの元に、戦死したと伝えられていた宮司の息子が帰ってくる。


その息子はかつて、川上哲治と同じくらいに評判になった神田中学校のエースで、彼の帰還は愛敬稲荷神社に集まる人々に大きな希望を与えた。


戦死を取り消し、戸籍を復活させたことで、彼は職業野球に再び参加できることになるのだが、その前にGHQの調査員が現れ…


戦地で過酷な現実の中を生き延びた息子は、時折記憶が混乱し、錯乱する。それでも、結局、息子は戦争がもたらした混乱の中で戦争犯罪人として、捕らえられる。


最後にこの芝居が上演されたのは11年前だと言う。今現在、この戯曲に手を付けず、そのまま上演するのは相当の覚悟があるだろうなぁ…


「木の上の軍隊」「母と暮せば」という「戦争」とその不条理を描いた芝居で舞台に立った松下洸平くん…今度もまたド直球の作品に参加するのだ。


キャスト名は2番目にクレジットされていたので、宮司役は山西惇さん、松下洸平くんはその息子、健太郎役なんだろう。


同じ年頃の若い青年役があと2人…そちらの方が出番もセリフも圧倒的に多そうだ。少ない出演ながら、健太郎は記憶の錯乱と神道への疑念を訴えるなど、他の青年役よりかなり難しい役どころだ。


演出の栗山民也さん、松下洸平くんを「健太郎」に配するとすれば、なんとまた大きな課題を与えたもんだ。


劇場は新宿紀ノ国屋サザンシアター。「夜来香ラプソディ」のシアターコクーンの半分、いや2/3ほどの規模だ。これは大変な争奪戦になりそうだ。


観る側も覚悟を要する芝居だ。