今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

英雄


図書館のサイトで「真保裕一」さんを検索したら、新作が登録されていたので予約してみました。


東野圭吾ほどではないけれど、しばらく待たされて手にしました。


「英雄」真保裕一 著(朝日新聞出版)


以下、感想。。。






















読み終わってまず「クドい!」と思いました(汗)。そう、真保裕一作品は、話の展開がクドいのだ。「ホワイトアウト」で名を馳せた「小役人小説」の時代から、とにかくお話の展開も、登場人物たちもことごとくクドい(笑)!


世に名の知れた企業グループの総帥が、銃殺されるという事件が起きた。銃を使用したとなれば、その筋へも捜査の手は伸びる。元々、建設、運送業で会社の身代を大きくしてきた伝説の総帥だ。闇の部分も取り沙汰され、捜査は行き詰まってしまう。


そんな最中に、総帥の落とし胤の娘が見つかる。落とし胤当人は死んだ母親から、実の父親については何1つ聞かされておらず、母親と家庭を築いていた男こそ父親だと思って育ってきたほどで、彼女には父親の不在はそれほど大きな問題ではなかった。


ところが、彼女の存在に気づきながら、総帥の家族は敢えて触れずに父親の残務を処理しており、彼らにも探られたくない事実もあった。


そこを総帥殺害事件解決の突破口にしようと考えた若い刑事の独断で、主人公は、事の真実を知らされ、実の父親が大きく育てた企業グループの進退を巡る問題や父親の家族たちとの駆け引きに巻き込まれていく。


真保裕一作品って、主人公は最初は全く「普通」の人なのだが、いろんな事に巻き込まれていき、最初の描写では思いもつかないほどの、驚嘆すべきタフさを発揮して「事件」の中心に君臨していく。


今回もまさにそれ(笑)。


そして、丁寧に物語の背景を描き、回収していくから、まず「クドい」と感じてしまう(汗)。


真保裕一作品が真保裕一作品らしくて、笑っちゃうくらいだなぁと…


現実はこんなに上手くは回らない。でも、真保裕一作品なら、あり得るラストシーン。この度も映像作品に向いてるよなぁと思う物語だった。